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【2003年3月】

   1日(土) ナビオTOHOプレックス・シアター3 『猟奇的な彼女』

               

       韓国製のラヴ・コメディ。僕はラヴ・コメには滅法弱い方なので、話をチラっと聞いた時から

       期待に胸を膨らませていたのですが、確かに期待通り、いや、期待以上の面白さでした。こ

       ういう映画は大好きです。

       主人公(男)と知り合いになる女性との関係が、友達以上恋人未満という、何とも微妙な間

       柄のまま、ずっと話が続くというのは、得てして絵空事になりがちですが、この映画の場合、

       “猟奇的な彼女”の中に秘められたミテリアスな部分が核となり、主人公の心の複雑な動き

       が上手く表現されていて、観ている者を上手く引き込む事に成功しているのは、なかなか大

       したものでした。

       で、ラストに到って、徐々にその謎が解け始めてからというもの、それまでの“笑い”から“泣

       き”へと転ずる構成も、劇的要素を含んでいて、非常に効果的であり、まさに「してやられた

       り!」って感じでしたね。

       ラヴ・コメらしく、ラストのスッキリ感にも好感が持て、最近でも出色のラヴ・ストーリー作品

       に仕上がっていました。SFXやCGIを使った派手な映画じゃなくても、十分に面白い映画が

       撮れるという、好見本のような作品で、韓国映画らしい、純朴さが漂っていました。

       しかし、この話を日本映画でやられると、手放しで喜べなくなるんだろうなぁ、多分…。 

                                                  (★★★★1/2)

 

   1日(土) ナビオTOHOプレックス・シアター2 『レッド・ドラゴン』

             

       『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に続く、“レクター・シリーズ”の第3弾。で、今回のは、トマス・

       ハリスが書いた原作の中で、一番最初のエピソードの映画化で、いわば“ハンニバル/エピ

       ソード1”的な作品。

       以前、『刑事グラハム』として一度映画化されていたけど、僕自身は、あまり面白くなかった

       です。マイケル・マン監督のスタイリッシュ過ぎる演出のお陰で、ストーリーがイマイチ掴めに

       くかったのと、レクター博士のキャラクターがよく分からなかったので、話も陰惨なだけで、あ

       まり良い印象は残っていなかったんですが、今回のリメイク(なんですよね…?)は、さすが

       にシリーズを重ねてきただけあり、しかもレクター博士役を同一の俳優が演じている事もあ

       り、前作とは比べモノにならないぐらい、面白く仕上がっていました。

       また、『ハンニバル』という前作に対しても、今回の方が面白くなっていて、やっぱり、レクター

       博士対FBIという図式ではなく、『羊たちの沈黙』や今回のように、殺人鬼対FBIの対決にプ

       ラスして、レクター博士を絡ませた方が面白くなるんでしょうね。

       それだけ、脇に回った時のレクター博士のキャラが素晴らしい訳で、そういう意味では、今

       回は大成功だったと言えるでしょう。やっぱり、アンソニー・ホプキンスのサイコ演技は、小

       出しにしてくれた方が良いという事なんでしょうね。

       雰囲気的には、1作目の『羊たちの沈黙』とよく似ていますが、アッチの方が、タイトルの意

       味も含めて、主人公のクラリスのトラウマもテーマの一つだった事もあり、ちょっと取っつきに

       くい所があったのに対し、今回の主人公は、普通のヒーロー刑事と同じキャラクターなので、

       素直に溶け込めるところもまた、よかったように思えて、僕的には、シリーズで一番面白

       かった作品だと思います。 (★★★★)

 

   15日(土) 梅田ピカデリー3 『007/ダイ アナザー デイ』

                  

       シリーズ生誕40周年、そして20作目の記念作。ですが、その割りには、以前の10作目記

       念の時程、盛り上がっていないような気がしますが、まぁそれはともかく、ブロスナン=ボン

       ドになっての4作目という事で、ブロスナンも完全に板に着いた感じになってます。

       相変わらず派手で騒々しい作品に仕上がっていますが、今回は、結構、シリーズ初という

       部分が多いですね。黒人女優初のメインのボンドガール(しかも、オスカー女優!)しかり、

       メイン・タイトル部分が、ストーリーの導入部になっている(プレ・タイトルと完全に繋がってい

       る)点や、主題歌を歌っている歌手(マドンナ!)がカメオ出演しているなど、さすがに20作

       目ともなると、斬新な部分を出さなくてはいけないという意気込みを感じました。

       特に、現実味を帯びた設定とストーリーになっているのが一番良かったですね。というのも、

       最近のボンド映画は、仮想敵を作るのに苦労しているようだったので、ここに来て、本来の

       味を取り戻したような気がしたからです。

       しかし、最新のハイテク秘密兵器を取りそろえているボンドが、クライマックスで金網を切る

       のにブチブチとワイヤーカッターを使い始めるシーンは、思わず笑ってしまいました。アレは

       ギャグなのか、それともマジなのか(アイデアが浮かばなかったのか…!?)、どうなんだろう…。

       シリーズの上位に入る程、とてつもなく傑作、という訳にはいかなかったようですが、それで

       も、シリーズの水準以上の出来映えである事には間違いないでしょう。取り敢えず、ブロス

       ナン=ボンド作品では、これが今のところベストだと思います。 (★★★1/2)

 

   15日(土) ホクテンザ1 『宣戦布告』

                      

       もし、北朝鮮の特殊工作員が、日本に潜入してテロ活動を開始したら…!? という設定を映

       画化した、日本映画では珍しいポリティカル・フィクション。今のこの時代には、何ともタイム

       リーな作品で、大いに興味がありました。

       いきなり、北朝鮮(映画では“北の国”という名称が付けられていたけど、どう見たって、北

       朝鮮ですよね…)の潜水艦(中で争った形跡有り)が駿河湾沖に座礁する所から始まるとい

       う、まるで『ユリョン』の後日談のようなオープニング。

       事件を察知した日本政府は、アジア諸国に対して刺激を与えないよう(即、戦闘行為だと取

       られるから)、自衛隊を出すのを憂慮し、最初は地元の警察に処理を任せるものの、発砲

       命令が出せない為、警官がバッタバッタと撃たれていくという、何とも情けない事態に。

       その後、民間人が犠牲になって初めて自衛隊が出動、しかし、何をするにも首相の決断と

       閣議の議決が必要という事で、これまた自衛隊員が次々と撃たれていくという最悪の事態

       になる様を、北に情報を流すスパイの暗躍と、それを捜査する公安当局の両方の面から

       描いた、ある意味、とてつもない壮大なコメディのような感じ。

       ま、笑ってる場合じゃないんですが、実際にこういう有事が起こったとしても、同じような事に

       なるのかなぁ…なんて思いながら観ていました。結局日本は、戦争をしてはいけないし、軍

       隊も持っちゃいけない国なんですよね。なのに、自衛隊があり、アメリカさんに協力したりし

       ているから、ややこしくなる訳で…。

       クライマックス、自衛隊が発砲しているという事実を知った(情報が筒抜けなんですな)北側

       が、日本に向けてミサイルを発射寸前にまでなる訳(『合衆国最後の日』みたいですな)です

       が、それを知った首相が、国防大臣に「発射前に敵のミサイル基地に向けてこちら側のミ

       サイルで攻撃したらどうか…」と質問したところ、「ミサイルは今すぐにでも準備出来ますが、

       法律により、実弾は装備されていません」と答える下りも、笑ってしまいました。一体、何の

       為の自衛隊なのか…。

       外国のポリティカル・フィクション映画では、観終わった後、政治家がカッコ良く見えますが、

       この映画の場合、日本の政治家は、単なる吉本新喜劇の芸人にしか見えませんでした。

                                                    (★★★)

 

   15日(土) ホクテンザ1 『マッスルヒート』

               

       先程の『宣戦布告』と同時上映だった映画。全く予備知識ナシで観たものでしたが、劇場へ

       来てポスターを見て、初めてケイン・コスギが出ているのを知り、衝動的に帰りそうになった

       のですが、共演が哀川翔だったので、何とか思い止まった作品でした。

       ケイン・コスギって、あまり好きじゃないんですが、作戦中、相手が子供だったので、撃つの

       をヤメた為、軍法会議にかけられて刑務所に収監されていた元シールズの隊員という、「お

       いおい…」という役柄で登場しました。

       で、哀川翔に誘われて、“レッドヒート”なる麻薬を追う秘密捜査官をやる事になり、ボス(加

       藤雅也!)を追いつめる途中で、相棒の翔が捕まり、“マッスルドーム”なる金網リングで戦

       わされた挙げ句死んでしまう…という展開で、ケイン君は翔の妹(婦人警官)と協力しながら、

       敵を倒すという、近未来のニッポンを舞台にしたどこかで観た事のある要素をブチ込んだ

       映画になっていました。

       と、ストーリーは単純明快なんですが、思っていた程悪くはなく、ケイン君、日本語のセリフ

       が少ないせいもあって、アクション一辺倒で頑張っていて、なかなか良かったです! ナンか、

       あのヴァン・ダムが恐れ多くも『燃えよドラゴン』のリメイクに挑戦したという『クェスト』によく

       似た映画になっていましたが、とにかくファイト・シーンの凄まじさは、一見に値すると思いま

       す。

       ソニー千葉が歳を取り、デューク真田が演技派に転向した今、日本の肉体派アクション映

       画を支えるのは、ケイン・コスギしかいないでしょう。ガンバレ、ケイン、ニンジャの父を超え

       ろ! (★★★1/2)

 

   22日(土) ホクテンザ2 『ディレイルド/暴走超特急』

       ジャン=クロード・ヴァン・ダムの新作。飽きもせず、よく同じような内容の映画に出てますな

       ぁ、ヴァン・ダムさん。全部がアクションものだという辺りに敬意を表したい所ですが、一通り

       観続けているファンの一人として言わせて頂くなら、どうやら『サドン・デス』以来、スランプに

       陥ってるようで…。

       前回がインディ・ジョーンズもどきの映画だったと思ったら、今回はパニック系ですか。タイト

       ルからして、観る前は“ヴァン・ダム版『暴走特急』”だと思っていたら、何の事はない、シチュ

       エーションがチョッピリ『ガントレット』風で、後半がほとんど“ヴァン・ダム版『カサンドラ・クロ

       ス』”になっていましたとさ。

       『暴走特急』のセガールも、途中下車(撃たれて列車から落ちちゃう)しながら、早々に列車

       に再搭乗していたけど、今回のヴァン・ダムも、バイクで列車上を突っ走った後(オイオイ)、

       そのまま落ちて一旦死んだと思わせながら、バイクで追いかけて再び乗るという離れ業を展

       開。やっぱり、列車アクションをやる人たちは、みんな考える事は同じなのだろうか…。

       列車内に細菌が拡がって、ミュンヘンへ入る前の橋の上で列車が爆破される(橋も落ちる!)

       という展開から、主人公たちの乗った車両が、それを回避する方法(大体わかりますよね…

       笑)まで、『カサンドラ・クロス』ソックリには笑ってしまいましたが、監督がヘンに映像に凝る

       人のようで、やたらスローモーションでカットを繋いだり、主人公と相棒の女が、それぞれ別

       の敵と戦うシーンでは、両者を二つに割ったスプリット・スクリーンで捉えるなど(どっちを見

       てイイのか、分からないヨ!)、スタイリッシュ(なのか…!?)な演出をしているので、せっかく

       面白そうになる話が、ほとんど盛り上がらないまま終わってしまったのは残念でした。

       例え題材がパクリでも、やり方次第では面白く出来る筈で、僕が監督だったら、もっと面白く

       してやる所だったのに、何とも歯痒かったです。 (★★★)

 

   30日(日) ホクテンザ2 『ホーン アイデンティティ』

                    

       マット・デイモン(ジミー大西)主演のスパイ・アクションもの。そういえば、ジミーちゃんは、本

       格的なアクション映画は今回が初めてらしいですね。その割には、頑張っていたように思い

       ますが、まぁ、アクション監督の指導がバッチリだったんでしょう。

       記憶を失った元CIAの特殊工作員…という設定は、そのまま『ロング・キス・グッドナイト』の

       男版って気がしたんですが、大体同じようなストーリーでしたね。ただこちらは、原作が有名

       なスパイ小説なので、割と硬派なスパイもののイメージを引きずっている感じがしましたが、

       映画を観ている間中は、結構楽しめました。記憶を失っている割に、スパイとしての戦術や、

       クンフー・アクションをしっかりと記憶している主人公が、何だか超人のように思えてきて、

       思わず笑ってしまいましたが…。

       しかし、一つだけ言わせて貰うと、暗殺を命じられながらも、実行寸前、標的の子供たちの

       顔を見ただけで、実行をヤメてしまう主人公は、殺し屋としては失格ですな。殺す相手の家

       族の事などイチイチ考えていては、スパイなどやっていられないでしょうに。

       大体、それ以後、主人公に襲いかかってきた連中を、みんな殺していた訳ですが、殺され

       た者たちにも家族や友人がいる事を、主人公は考えなかったのだろうか…? ようするに、

       目に見えたモノには、感受性が揺さぶられて、目に見えないモノには、何も感じないというの

       は、自分勝手過ぎやしないか。

       という事で、ジミー君は、最初からスパイなどには不向きな人間だったって事でしょうね。 

                                                      (★★★)

 

                 


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